住宅の概要に関する基礎知識

省エネ基準適合義務制度 ※本シートは、2025年12月時点の情報を基に作成した。   

 2022年(令和4年)に公布された改正法(令和4年法律第69号)により、建築物省エネ法(平成27年法律第53号)が改正され、原則全ての建築物について、省エネ基準への適合が義務づけられた。

(1)背景

 地球規模の温暖化問題への対応を図るため、二酸化炭素の排出量の抑制及びその原因となる化石燃料の使用の削減が強く求められているなか、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国全体のエネルギー消費量の約3割を占める建築物分野においても、更なる省エネ性能向上を図ることが喫緊の課題となり、次図の通り「住宅・建築物分野の目標」が掲げられた。(参考1(1)、参考2)

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出典:国土交通省HPを修正

(2)省エネ基準適合義務制度の概要

① 適合義務の対象
 2025年(令和7年)4月1日以降に着工する原則全ての建築物が、省エネ基準への適合義務づけの対象となった。また、増改築を行う場合は、建築物全体ではなく、増改築を行う部分が省エネ基準に適合する必要がある。なお、「増改築」には、修繕・模様替は含まれないため、修繕・模様替(大規模の修繕・模様替を含む)を行う場合は、適合義務の対象外となる。(参考3(1))
② 適用除外
 以下の建築物は、省エネ基準適合義務の適用除外となる。
  • 10㎡以下の新築・増改築
  • 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないもの
    (自動車車庫、自転車駐車場等又は観覧場、スポーツの練習場等)
  • 歴史的建造物、文化財等
  • 応急仮設建築物、仮設建築物、仮設興行場等
③ 省エネルギー基準
 建築物省エネ法における省エネルギー基準は、基準省令に規定されており、住宅の場合は「外皮基準」と「一次エネルギー消費量基準」からなる。それぞれの基準には、「性能基準」と、計算によらず基準への適合性を確認できる「仕様基準」があり、性能基準には低い水準から「省エネ基準」・「誘導基準」・「トップランナー基準」の3つの水準、仕様基準には「仕様基準」と、より高い水準の「誘導仕様基準」がある。

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出典:国土交通省HPを修正

(参考情報1)建築物省エネ法における住宅の省エネルギー基準(参考4(1)、参考5)
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④ 手続き等
 省エネ基準適合義務の有無、省エネ基準適合に係る審査・検査の要否等は、用途・規模(面積・階数)などにより決まり、次に示す判断チャートにより確認することができる。

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⑤ 省エネ対策の強化
 2025年度(令和7年度)の省エネ基準適合義務づけの後、遅くとも2030年までに、省エネ基準(義務基準)をZEH・ZEB水準まで引上げ予定となっている。(※3)

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出典:国土交通省HPを修正

(※3)『ZEH』(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
ZEHにおける省エネ性能の向上や自家消費拡大を図るべく、従前のZEHシリーズ(ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented)に加えて2018年度(平成30年度)よりZEH支援事業の対象として新たに「ZEH+」が創設され、その普及が進められている。
『ZEH+』(ゼッチプラス)とは、現行のZEHより省エネをさらに深堀りするとともに、再エネなどのさらなる自家消費拡大を図り、需給一体型を目指したZEH。
『ZEB』(ゼブ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)は、非住宅が対象。
出典:国土交通省HP、経済産業省 資源エネルギー庁HP 省エネポータルサイト

(3)省エネルギー基準と住宅性能表示制度における等級の関係

 省エネルギー基準と同様に外皮の断熱性能と設備機器の一次エネルギー消費量を評価する指標に、住宅品確法(平成11年法律第81号)に定められている「住宅性能表示制度」の評価がある。この評価項目には、「温熱環境・エネルギー消費量に関すること」という区分があり、外皮性能については「断熱等性能等級」、省エネルギー性能については「一次エネルギー消費量等級」として評価される。(引用4(2)修正)
 省エネルギー基準とそれぞれの等級の関係は、次表のとおり。
 なお、住宅性能表示制度における「断熱等性能等級」と省エネルギー基準は以下の点が異なるため、「≒」のような相当である旨の表現となっている。
  • 結露発生を防止する対策に関する基準は、平成28年省エネ基準では留意事項であるのに対して、断熱等性能等級では具体的な仕様等を規定している。
  • 平成4年及び昭和55年省エネ基準の告示類は既に廃止されているため、外皮平均熱貫流率及び冷房期の平均日射熱取得率に関する基準は、平成28年省エネ基準の告示を引用しつつ数値や表現を読み替えて各等級の基準として構成している。(引用6修正)
(参考情報2)省エネルギー基準と住宅性能表示制度における等級の関係(引用4(2)修正)
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(※4) 日本住宅性能表示基準及び評価方法基準が改正され、等級7及び等級8が創設された。
(2025年12月施行)
(※5) 省エネ基準比エネルギー消費量▲20% 太陽光除く
(※6) 省エネ基準比エネルギー消費量▲10%
(※7) 2025年(令和7年)4月時点
[注意] 住宅性能表示制度上では、「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」は、必ずしも同一等級である必要はありません。
(参考情報3)本シート(14.省エネ基準適合義務制度)に関連する用語と対応する法令(参考7)
用 語 法 令
改正法 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)
建築物省エネ法 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)
省エネ法 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
(昭和54年法律第49号)
住宅品確法 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)
エコまち法 都市の低炭素化の促進に関する法律(平成24年法律第84号)
基準省令 建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令(平28経産・国交省令第1号)
算出告示 建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等に係る事項(平28年1月29日 国交告第265号 最終改正:令和6年国交告第975号)
省エネ基準
(義務基準)
建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)
第2条第1項第3号で定める建築物エネルギー消費性能基準
(2025年(令和7年)4月施行の義務基準)
誘導基準 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)
第30条第1項第1号で定める建築物エネルギー消費性能誘導基準
トップランナー基準 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)
第22条第1項、第25条第1項で定める基準
仕様基準
(義務基準)
住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準(平成28年1月29日 国交告第266号 最終改正:令和6年国交告第975号)
誘導仕様基準 住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する誘導基準及び一次エネルギー消費量に関する誘導基準(令和4年11月7日 国交告第1106号)
建築主の判断基準 住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準(平18経産・国交告第3号)
設計・施工指針 住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針
(平25国交告第907号)
日本住宅性能表示基準 平成13年国土交通省告示第1346号
評価方法基準 平成13年国土交通省告示第1347号
基本方針 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)第3条で定める基本的な方針
建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する基本的な方針(令和元年国交告第793号 最終改正:令和5年国交告第971号)


(参考情報4)住宅の省エネルギー基準
参考文献

№ 書名[該当箇所] 編著者 発行所
1 住宅の省エネルギー基準の解説 [(1)p1、(2)p3] 住宅の省エネルギー基準の解説 編集委員会 (財)建築環境・省エネルギー機構
2 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律の解説 令和5年3月版[p2] 国土交通省 住宅局 建築指導課 参事官(建築企画担当) 市街地建築課 国土交通省 住宅局 建築指導課 参事官(建築企画担当) 市街地建築課
3 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)に係る質疑応答集(令和7年12月23日時点)[(1)p7、(2)p59] 国土交通省 住宅局 国土交通省 住宅局
4 住宅の省エネルギー基準と評価方法2024 戸建住宅版[木造、鉄筋コンクリート造]・第2版[(1)p1-006・p1-015・p3-004・p3-005・p5-002、(2)p1-011] 省エネルギー性能評価法検討委員会 解説ツールWG マニュアル作成SWG (一財)住宅・建築SDGs推進センター
5 建築物省エネ法 木造戸建住宅の仕様基準ガイドブック 省エネ基準編 1~3地域版[p32] 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付 (一社)木を活かす建築推進協議会
6 〈改正〉平成28年省エネルギー基準対応 住宅省エネルギー技術講習テキスト 基準・評価方法編[第2版][p049] 省エネ講習資料作成WG (一社)木を活かす建築推進協議会
7 建築物省エネ法に基づく省エネ基準適合義務制度等に係る手続きマニュアル(令和7年4月版)[p6] (一財)住宅・建築SDGs推進センター (一財)住宅・建築SDGs推進センター
8 住宅事業建築主の判断の基準ガイドブック[初版][p55] (財)建築環境・省エネルギー機構 (財)建築環境・省エネルギー機構
9 平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ 住宅[p135~139] 平成25年住宅・建築物の省エネルギー基準解説書編集委員会 (一財)建築環境・省エネルギー機構
10 平成28年省エネルギー基準(H30.4.ver)対応 住宅省エネルギー技術講習 基本テキスト[p088] 省エネ講習資料作成WG (一社)木を活かす建築推進協議会
11 建築物省エネ法に係るQ&A集 (一財)建築環境・省エネルギー機構 (一財)建築環境・省エネルギー機構
12 省エネ基準適合義務制度の解説〔第二版〕[p17] 国土交通省 国土交通省
13 建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料 令和6年9月[p57] 国土交通省 住宅局 建築指導課 参事官(建築企画担当) 市街地建築課 国土交通省 住宅局 建築指導課 参事官(建築企画担当) 市街地建築課
14 建築物省エネ法に基づく 性能向上計画認定制度 令和7年4月版 国土交通省 住宅局 参事官(建築企画担当) (一社)住宅性能評価・表示協会
15 エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要 国土交通省 住宅局 参事官(建築企画担当) (一社)住宅性能評価・表示協会
16 新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド 令和7年12月1日版 国土交通省 住宅局 住宅生産課 (一社)住宅性能評価・表示協会
17 新築版「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の長期優良住宅認定制度の概要について 20250401 (一社)住宅性能評価・表示協会 (一社)住宅性能評価・表示協会


関連文献

書名 編著者 発行所
日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説(新築住宅)2024 (一財)日本建築センター 工学図書(株)