赤外線サーモグラフィ装置は、対象物表面から放射される赤外線放射エネルギーを検知し、見かけの温度に変換しその温度分布を画像表示する装置である。 仕上材が浮いている部分では、内部に生じた空気層が健全部に比較して熱を伝えにくくなる。浮き部に日射があたったり、外気温が上昇したりする場合は、健全部より高温になり、逆に日射が無くなり、外気温が低下する夜間には低温になる。 赤外線サーモグラフィは、この特性を利用して建物のタイル外壁またはモルタル塗り外壁の浮き部と健全部の熱伝導の相違によって生じる表面の温度差を映像化し、浮きの有無を可視化するものである。本用途に用いる赤外線サーモグラフィ装置の基本性能を下表に示す。 |
浮き部に温度差が生じる原理 図版提供:一般社団法人日本赤外線サーモグラフィ協会
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赤外線サーモグラフィ装置の基本性能
項目 |
性能 |
最小検知温度差 |
0.1℃以下(30℃黒体において) |
瞬時視野 |
2.0mrad以下 |
表示画素数 |
250×200(5万画素)程度以上 |
引用:「土木コンクリート構造物のはく落防止用赤外線サーモグラフィによる変状調査マニュアル」
(一般財団法人土木研究センター/平成17年3月/p17表3.1.1)
【視野と空間分解能】 対象物までの測定距離と最小検知寸法の関係を下図に示す。距離が離れると視野が広くなり一回に計測できる範囲は大きくなるが、最小検知寸法も同時に大きくなってしまうため注意が必要である。
空間分解能、最小検知寸法、視野角及び瞬間視野角の関係
引用:「NDIS3005:赤外線サーモグラフィ試験用語」 (一般社団法人日本非破壊検査協会/令和4年2月17日改正) |
【赤外線サーモグラフィ装置】 現在は、赤外線カメラとLCDモニター、メモリカードへのデータ記録装置が一体化し、小型軽量でバッテリーにより動作し簡単に持ち運ぶ事ができるものが主流となっている。 |
赤外線サーモグラフィ装置の例
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