(1)住宅紛争処理技術関連資料集の位置付け等
住宅紛争処理技術関連資料集は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「品確法」という。)に基づく建設住宅性能評価書が交付された住宅及び「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(以下「履行法」という。)に基づく瑕疵保険が付された住宅に係る紛争について、指定住宅紛争処理機関における迅速かつ適正な解決を目的とし、住宅紛争処理支援センターから指定住宅紛争処理機関への支援業務の一環として策定したものです。
本資料集は、主として指定住宅紛争処理機関の紛争処理委員である建築士等が、
①不具合事象の発生原因を特定するための調査
②不具合事象の発生原因に応じた補修方法に係る検討
③補修工事に必要となる費用に係る検討
等の業務を行う際に、参考とする技術的な資料の一つとして活用することを想定したものです。
このため、最終的に紛争処理委員は、個別の案件における具体的な状況を勘案して、実際の紛争処理における現場調査方法の選定、補修を行う場合の補修方法の選定及び補修工事費用の積算の確認等に係る検討を行う必要があります。(室内空気汚染に関しては、ホルムアルデヒドの室内空気濃度を測定した結果、厚生労働省の指針値(0.08ppm)以上であった場合を対象としています。)
(2)住宅紛争処理技術関連資料集の構成等
本資料集は、住宅の構造(木造(在来軸組工法・枠組壁工法)、鉄筋コンクリート造、鉄骨造)毎に、以下の内容で構成されています。なお、各年度の資料集の構成等については、表「各年度の住宅紛争処理技術関連資料集の構成」をご参照下さい。
本資料集は、毎年12月末現在の関係法令等と整合を図っています。また、引用文献等は必要に応じて毎年12月末現在のものと整合を図っています。
①調査方法編
不具合事象の発生原因を特定するための調査方法のうち、一般的と考えられるものを例示しています。
②機器使用方法編
①の調査において使用することが想定される検査・測定機器の一般的な使用方法を例示しています。
③補修方法編
不具合事象の発生原因に応じて、補修を行うこととした場合における補修方法を例示しています。
④工事費用編
補修工事費用に係る積算内容を確認する際に必要となる一般的な工事費用の積算の考え方等を例示しています。
⑤仕様書等変遷編
住宅が新築された当時の一般的な工法、材料、施工方法等を参照できます。
(3)住宅紛争処理技術関連資料集を活用する場合のイメージ
具体の紛争処理のプロセスにおいて、本資料集を活用するか否か及びどのような形で活用するかについては、最終的に当該案件を担当する紛争処理委員の裁量にゆだねられますが、本資料集を活用することになったときには、以下のような各段階での活用イメージが想定されます。
[住宅取得者が修補を請求している案件に係る紛争処理の流れの一例]
図1 紛争処理の各段階における住宅紛争処理技術関連資料集の活用イメージ
※住宅紛争処理支援センターによる技術的支援の概要
(4)免責事項
住宅紛争処理支援センターは、本資料集に起因する損害に対して一切の責任を負いません。
住宅紛争処理技術関連資料集を活用する場合の留意点(適用整理表)
1.基本的な考え方
①調査方法編の一部を除き、紛争処理時点の資料集を活用できる。
②調査方法編のうち、「2.設計内容の確認」及び「3.施工状況等の確認」に関する部分は、新築当時の技術的基準等を参照する必要があるが、調査方法編は、平成11年以前の情報はカバーしていないため、平成11年以前に建設された住宅については、仕様書等変遷編を活用する。
なお、住宅紛争処理技術関連資料集の基本的な考え方は普遍的なものであるため、紛争処理時点の調査方法編も併せて活用できる。
③調査方法編における「建設住宅性能評価関連図書の取り寄せ」に関する部分については、紛争処理時点の資料集によることができない。
④既存住宅やリフォーム工事にかかる補修方法編の活用にあたっては、新築時点(建設時)に適用されている法令・基準等の変更及び新たな制限等の追加に注意する。
2.適用整理表
各年度の住宅紛争処理技術関連資料集の構成