在来軸組工法
在来軸組工法は、基本的には柱と横架材(梁・桁など)によって軸組を構成する工法であり、地震や風圧力等の水平力に抵抗するため、筋かいを入れた軸組や構造用合板等の面材を釘打ちして張った耐力壁を入れる。
この工法は、古くからある日本の構法を基礎にしているため在来工法と呼ばれている。木材は、重量の割合に比べて強度が大きく、加工しやすいことが特徴としてあげられる。
① 基礎と土台
- 基礎(きそ)
- 上部構造の力を地盤に伝える。べた基礎や布基礎などの種類がある。
- 束石(つかいし)
- 床束の下に設ける石で、上部の床の荷重を地盤に伝える役割をする。
- 土台(どだい)
- 基礎の上に設けられる水平材。普通は柱を受け、その根元をつなぐ役割をする。柱の下に土台を設けず直接基礎で受ける場合もある。側土台、間仕切土台などがある。
- アンカーボルト
- 基礎と土台をつなぐボルト。
② 柱と横架材
- 通し柱(とおしばしら)
- 2階建以上の建物で2階分にまたがって(2階建の場合は、土台から軒桁までを)一本の材で通した柱。
- 管柱(くだばしら)
- 2階建以上の木造建物において,各階ごとに区切られている柱。
- 間柱(まばしら)
- 柱と柱の間に、大壁の縦枠として入っている柱。
- 胴差(どうざし)
- 2階以上の床の位置で柱を相互に繋いでいる横架材。建物の外周部のものを指す。
- 桁(けた)
- 柱の頭を連結する横架材。
- 軒桁(のきげた)
- 桁のうち、外周部にあるもの。敷桁ともいう。
③ 床組
- 床梁(ゆかばり)
- 2階床面の荷重を支え、柱や胴差に伝える梁。1階床にも床梁を設ける場合もある。
- 根太(ねだ)
- 床板あるいは床の下地板を直接支える水平材。
- 大引き(おおびき)
- 1階床面の荷重を、根太から土台や床束に伝える水平材。
- 床束(ゆかづか)
- 最下階(1階)の床を支える垂直材。大引を受ける。
④ 小屋組(和小屋の場合)
- 小屋梁(こやばり)
- 小屋を支えるための梁。普通は軒桁にかかる(京呂組)が、柱に直接かかる場合もある(折置組)。
- 棟木(むなぎ)
- 棟(小屋の頂部)の位置に桁行方向にかかる水平材。
- 小屋束(こやづか)
- 小屋梁の上に立ち、棟木や母屋を支える垂直材。
- 母屋(もや)
- 垂木を支える屋根面の水平材。主に桁行方向にかかる。
- 垂木(たるき)
- 屋根の下地板(野地板)を直接支え、棟から母屋、軒桁にかかる材。
⑤ その他
- 筋かい(すじかい)
- 壁面の軸組に対角線上に設ける斜材で、耐力壁を構成して水平力に抵抗する。
- 火打(ひうち)
- 部分的に隅角部を固める斜材のうち、水平構面のもの。
- 方杖(ほうづえ)
- 部分的に隅角部を固める斜材のうち、鉛直構面のもの。
- まぐさ
- 窓などの開口部の上部に渡してある水平材で、両端が柱に固定されている。
- 窓台
- 建具の下枠を受ける水平材で、両端が柱に固定されている。
参考例 木造軸組工法(在来構法)による住宅の部材と名称
図引用:「木造住宅工事仕様書 2023年版」p207((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)