補強コンクリートブロック造の塀(以下、ブロック塀)は、コンクリートブロックに目地モルタルを用いて組積し、鉄筋により補強をした壁体および基礎により構成される一体の構造である。(参考:参考文献1)
建基法では、第2条により建築物に附属する塀は建築物と定義され、ブロック塀の構造方法は建基法令第62条の6及び8に規定されている。また、構造計算による構造耐力上の安全の確認方法は平12建告第1355号に規定されている。その他、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS7 メーソンリー工事(2009)」「壁式構造関係設計規準集・同解説(メーソンリー編)(2006)」「壁式構造配筋指針・同解説(2013)」「ブロック塀施工マニュアル(2020)」(ともに、(一社)日本建築学会発行)「既存ブロック塀等の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説(2019)」((一財)日本建築防災協会)等が参考になる。
ブロック塀は、敷地境界に建設されることが多く、敷地境界の確保や隣家・外部からの視線遮断、防火・遮風・遮音等の役割を担っている。(参考:参考文献2)また、ブロック塀は「鉄筋を入れた空洞部及び縦目地に接する空洞部は、モルタル又はコンクリートで埋めなければならない」と規定されている(建基法令第62条の8第1項)。しかし、コンクリートブロック自体の吸水率が比較的高いことや空洞部へのモルタル等の充填が不十分であること等から、水の浸入によって、白華現象や鉄筋の発錆等につながることがある。(参考:参考文献2,4,7)これらの現象を防ぐために、防水処置の方法として、防水モルタル塗りのほか、防水剤や撥水剤等の塗布を講じる場合がある。(参考:参考文献2)本来、ブロック塀は強固にでき得る。しかし、ブロック塀が建基法令への適合を十分に確認せずに建設されること等が原因で、地震時に道路側に倒壊する等の被害が発生している。(参考:参考文献2,6)