床とは、床板又は床版といわれる水平構面と床下地材・床仕上材を総称していう。 床の水平構面は、鉛直荷重に対して十分な強度や剛性を持ち、鉛直荷重を床の周囲の柱等に安全に伝達するとともに、上部の構造から伝達された地震や風等の水平荷重を、柱等を通して確実に基礎・地盤に伝える必要がある。建物の構造安全上、水平構面の剛性が不十分であると、水平荷重を垂直構面に伝達できず、一部の柱等に外力が集中して、柱等の変形・破壊等を起こすため、床の水平構面には「平面的なせん断変形が生じない構造等であること」、「劣化により構造体としての剛性を失うことがないこと」等が求められる。 建物の構造上水平構面を形成する部位として、床のほかに屋根があるが、屋根については別項目で取り上げる。 <鉄骨構造に使用される床構造の構造別分類>鉄骨構造に使用される床構造
鉄骨構造の床構造には上記の様に、木造や鉄筋コンクリート構造等の床も使用される。しかし、鉄骨構造の中でも、戸建住宅のように比較的小規模な建物においては、床の重量が大きな鉄筋コンクリート構造床スラブを用いる事例は少なく、多くの住宅では、鉄骨構造床又は木造床が用いられている。デッキプレートを捨て型枠として用いる鉄筋コンクリート構造スラブ床は、耐火性能を要求される共同住宅等で使用される床構造である。(本編では鉄骨構造床と木造床を対象とする。)
<鉄骨構造の戸建住宅に使用される床の分類>鉄骨構造の戸建住宅において使用される鉄骨構造床又は木造床は、工法により、各階ごとに以下のように分類される。鉄骨構造に使用される床構造は、階下床と階上床に区分され、仕上げのディテールは同じであるが、床組の構成は異なっている。階下床は床荷重の大半を直下の地盤に支持させる床組であり、階上床は床荷重を柱や梁等に伝達させる床組で、床そのものが骨組の一要素をなしている。
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階下床構成の例
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階上床構成の例
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