外壁とは、外気に接する壁の軸組により構成される垂直構面と仕上材等を総称していう。 軸組とは、屋根や床の固定荷重(自重)および積載荷重を小屋組、柱や床組を通して鉛直荷重として基礎・地盤に伝えると共に、風や地震等の水平力に抵抗する役割を持つ構造部分をいう。 軸組構法は、柱・梁がほぼピン接合されており、梁と柱の曲げ応力の伝達は想定していない。水平力は耐力壁(筋かいを組み込んだフレームまたは面材を打ちつけたフレーム)に負担させ、フレーム内の斜材の軸方向の抵抗または面材の面剛性で建物全体の変形を防止している。従って、耐力壁の量(壁量)が少なければ揺れが大きくなり、建物の変形量が大きくなる。また、耐力壁の配置バランスが悪いと平面的ねじれが生じ、耐力壁の変形・破壊につながる恐れがあるので、①十分な壁量、②バランスの良い耐力壁の配置、③接合金物等による接合部の的確な補強が求められる。 また、外壁は屋内と屋外を仕切るもので、構造安定性や防耐火性能が要求されるほか、防水性、耐候性、断熱性、遮音性等が要求される。 劣化については、1階土台回りでは地面に近く湿気が多いため、シロアリや腐朽菌等に浸食されにくい納まりや材料を使用しなくてはならない。 外壁の不具合事象が、基礎の沈下等さらに重大な不具合事象を伴うものかを、初期の段階で判別することが重要である。 |
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木造軸組(大壁)
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<耐力壁等について>筋かいを入れた壁や構造用合板等を打ち付けた壁は、耐力壁として機能し、地震力及び風圧力によって建物に生じる水平力に抵抗する役割を担っている。建築基準法施行令第46条第4項においては、張り間方向及びけた行方向のそれぞれについて、地震力及び風圧力に抵抗するために必要な耐力壁の量を規定している。(引用2) 同規定に基づく耐力壁の仕様と壁倍率を以下の表に示す。(引用3一部加筆)*1 胴縁は1.5cm×4.5cm以上で間隔31cm以下、N50釘打ち*2 床下地材の上から打ち付ける受材は3.0cm×6.0cm以上、N75釘打ち@12cm以下 *3 床下地材の上から打ち付ける受材は3.0cm×4.0cm以上、N75釘打ち@20cm以下 *4 床下地材の上から打ち付ける受材は3.0cm×4.0cm以上、N75釘打ち@30cm以下 *5 柱及び梁、けた、土台その他の横架材に打ち付ける受材(床下地材の上からも 含む)は3.0cm×4.0cm以上、N75釘打ち@12cm以下 *6 柱及び梁、けた、土台その他の横架材に打ち付ける受材(床下地材の上からも 含む)は3.0cm×4.0cm以上、N75釘打ち@20cm以下 *7 柱及び梁、けた、土台その他の横架材に打ち付ける受材(床下地材の上からも 含む)は3.0cm×4.0cm以上、N75釘打ち@30cm以下 *8 貫は1.5cm×9.0cm以上で間隔61cm以下、5本以上 *9 各々の和(5.0を超えるときは5.0とする) *10 屋外壁等(屋外に面する壁又は常時湿潤の状態となるおそれのある壁)以外に 用いる場合に限る |
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<壁の配置について> 建物のねじれ(引用4)
階数が2以上又は延ベ面積が50㎡を超える木造の建築物においては、平成12年建設省告示第1352号(木造建築物の軸組の設置の基準を定める件)に基づき、耐力壁を釣合い良く配置することが義務づけられている。 |
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<準耐力壁等について>住宅性能表示制度では、建築基準法で定められている耐力壁のほかに、準耐力壁等についての基準があり、用いることのできる面材の種類と大きさ、釘の種類と間隔と面材への打ち付け方等の仕様と、準耐力壁の量が定められている。準耐力壁等に関する基準は、当該住宅において住宅性能表示制度の関連等級が2以上の場合、適用される。 準耐力壁の適用にあたっては、まず建築基準法に基づく壁量チェック(建築基準法の存在壁量≧必要壁量)を行い、改めて住宅性能表示で認められている準耐力壁等を加えた壁量チェック(性能表示の存在壁量≧必要壁量)を行う。 準耐力壁等の条件
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準耐力壁等(腰壁等)として使える壁要素の倍率(引用6一部加筆)
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<接合金物について>接合金物については、建築基準法において、仕様に応じた筋かい端部の接合金物と、取り付く耐力壁の壁倍率に応じた柱端部の接合金物が定められている。また住宅性能表示制度では、通し柱と胴差の接合部の接合金物と、水平構面の外周横架材で負担の大きい接合部の接合金物について、別途定めている。 住宅性能表示制度の接合金物に関する基準は、当該住宅において住宅性能表示制度の関連等級が2以上の場合、適用される。 接合金物には、Zマーク表示金物(木造軸組構法住宅用の承認金物)、Dマーク金物(同等認定金物)、Sマーク金物(性能認定金物)などがある。
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外壁の仕上げ部分は、防火、防音、断熱等に有利で、壁面が柱面を隠して仕上がる「大壁造り」が一般的である。「大壁造り」としては、湿式工法(現場で水を使う施工法)と乾式工法がある。 湿式工法として「モルタル塗仕上げ」、乾式工法として「金属系、窯業系サイディング張り仕上げ」、「板張り仕上げ」等が代表的である。(参考1) また、断熱工法としては、軸組の間に断熱材を充填する「充填断熱工法」と軸組の外側に断熱層を設ける「外張断熱工法」が一般的である。(参考2,参考3)
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