床とは、床組により構成される水平構面と床仕上材を総称していう。 床組とは、鉛直荷重に対して十分な強度や剛性を持ち、上部の構造から伝達された地震や風等の水平荷重を垂直構面である軸組(耐力壁)を通して、確実に基礎・地盤に伝えるために設けられた構造部分をいう。 建物の構造安全上、床組や小屋組等の水平構面の剛性が不十分であると、水平荷重を垂直構面に伝達できず、一部の垂直構面に外力が集中して、耐力壁の変形・破壊を起こすため、床の水平構面には「平面的なねじれが生じない構造等であること」「劣化により構造体としての剛性を失うことがないこと」等が求められる。1階床は地面に近く湿気が多いため、シロアリや腐朽菌等による劣化に配慮する必要がある。 床は、基礎の上部に位置しており、床の不具合事象が基礎の沈下等さらに重大な不具合事象に伴うものかを、初期の段階で判別することが重要になる。 <床組の構造上の分類>軸組工法における床組は、建築基準法施行令46条3項の規定に基づき剛性を高めることとされており(面材等を用いる場合を含む)、全体として剛性の高い床とする必要がある。剛性の高い床組には、面材で固めることで水平構面の剛性が期待できる床組と、火打ち材で補強することによって水平構面の剛性が期待できる床組の2種類の方法がある。 階数や工法など建物の特徴に応じて床組は使い分けられる。2×4住宅や3階建ての木造住宅などでは面材を用いて剛性を高める方法を採用することが多い。
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(b)床板または床下地板の施工例(引用5)
(c)床下地材と根太の取り合い(引用6)
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<木造住宅の代表的な床構成>
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床束には、鋼製やプラスチック製のものもある。 ねこ土台:土台と基礎との間にねこ(土台と基礎との間にかいこむものの総称)を挟んだもの。
土台を浮かせて水湿を防ぐとともに、基礎に孔を設けず床下換気が確保できる工法。(引用9) (上図は、ねこ土台による方法を示す例である。)
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<床の仕様による床組の床倍率上の分類>木造住宅の床組の水平方向の強さは、評価方法基準(☆1)によって、水平構面の仕様に応じ、床倍率(存在床倍率)として定義されている。評価方法基準に定められている木造住宅の屋根構面、床構面、火打構面の仕様および存在床倍率は、下表のとおりである。 屋根・床・火打構面の仕様と存在床倍率(引用10)
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