補修方法編

床の傾斜 まぐさによる床梁の補強 F-1-210
木枠
工事概要

たわみの発生した床梁の下部にまぐさを取り付けて補強する。



床梁の構成例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 外壁のひび割れ、欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
原因
  • 床梁の断面寸法の不足
  • 床梁材料の選択不良、品質不良
適用条件
  • 床梁の断面寸法が構造耐力上不足している場合に用いる。
  • 平面計画上、床梁下にまぐさ及びまぐさ受けを増設しても支障の無い場合に限る。
工事手順の例
1.事前調査
現場での事前調査により、床梁の接合部に傷みがないことを確認する。
  • 補修(金物補強も含む)により構造耐力上安全であることを確認する。
2.足場の設置
たわみの発生した床梁の直下の周囲に足場を設置する。この際ジャッキ等で持ち上げるため、天井を解体する足場の設置位置が障害にならないよう注意する。
  • 足場で床仕上げを傷つけないよう、シートおよびコンパネ等による保護・養生を行う。
3.床梁下部の天井の取り外し
たわみの発生した床梁直下の天井の仕上材及び下張材を取り外し、たわんだ床梁を露出させる。
4.まぐさの設置
たわみの発生した床梁の下に、まぐさを仮柱で支持させて設置する。
5.床梁のジャッキアップ
床に角材を敷き、その上にジャッキ(パイプサポート)等を設置し、4.で設置した既存床梁下のまぐさを支持する。
ジャッキ等を調整して、床梁を所定のレベルまで持ち上げる。
6.まぐさ受けの設置
床梁下のまぐさにまぐさ受け(2本以上)を取り付ける。
まぐさ受けからたて枠への釘打ちは、CN90を上・下端それぞれ2本、中間部300mm間隔以内に千鳥に平打ちする。(参考:参考文献1)
まぐさにはたて枠から4本のCN90を木口打ちする。(参考:参考文献1)
7. ジャッキ等の撤去
ジャッキ等を少しずつ下げ、床梁のレベルが所定位置になっているか確認する。
その後、ジャッキ等を撤去する。
8. 天井の再施工
撤去した天井の下張材、仕上材を再施工する。
9. 最終確認
水準器等を用いて床仕上面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
足場などの撤去のうえ、片付け、清掃を行う。
備考 施工上の注意点
  • 設備(電気・給水・ガス)が絡む場合は、別途設備工事の撤去、再設置工事が必要となる。
  • 設備配管(電気・給水・ガス)が影響を受ける可能性がある場合は継手部分の確認を行う。
  • まぐさ及びまぐさ受けの断面寸法や長さとそのグレードおよびその支持方法・緊結方法については、構造計算等により決定する。
  • たわんだ床梁とまぐさは、構造用合板の両面張りで一体化させることが望ましい。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2023年版[p106~107(4.10.6)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院