補修方法編

勾配屋根の変形 小屋束の増設 R-1-103
木軸
工事概要

小屋梁間に新たに梁を架け渡し、その上に小屋束を増設し、母屋・むな木を補強する。


母屋・むな木を補強例(引用:参考文献1)
対応する不具合と原因 不具合
  • 勾配屋根の変形(はがれ、ずれ、浮き)(R-1)
原因
  • 小屋組材の断面寸法等の不良、配置・支持間隔の不良、品質不良
適用条件

母屋が桁行き方向に架かっている場合に適用可能な工法である。

工事手順の例
1.事前調査
現場での事前調査により、小屋裏に入り当該箇所の母屋・むな木のたわみ状況等を確認する。
小屋束の増設により、構造耐力上問題が生じないかを確認する。
2.足場の設置
補修するたわんだ母屋等の直下の周囲に足場を設置する。
  • 足場の設置等により床等を傷つけないよう、シートおよびコンパネ等による保護・養生を行う。
3.天井の取外し
受け梁の搬入、小屋束の設置に必要な開口部を確保するため、当該箇所の直下の天井を1.8m程度の幅で取り除く。
4.梁の架け渡し
補修する母屋・むな木の直下の小屋梁と小屋梁の間に新設梁を架け渡す。
5.母屋・むな木のジャッキアップ
架け渡した新設梁の小屋束を増設する位置の横にパイプサポートを設置し、少しずつ母屋・むな木をジャッキアップし、たわみ、下がりを修正する。
6.小屋束の設置
母屋・むな木と新設梁の垂直距離に合わせた長さの小屋束を新設梁と母屋の間に増設する。
7.パイプサポートの取外し
パイプサポートをゆるめながら母屋の下がり、たわみがないことを確認した後、パイプサポートを取り外す。
8.天井の施工
屋根仕上材の不陸、浮き等がないことを確認する。
取り外した範囲の天井を施工する。
9.最終確認
工事全体の仕上りを確認する。
足場を撤去する。
片付け、清掃を行う。
備考 施工上の注意点
  • 設備(電気・給排水・ガス)が関係する場合は、別途、撤去、再設置工事が発生する。
  • 建設住宅性能評価書を交付された住宅で該当する等級が2以上のものでは、補強された母屋・むな木は、原則として品確法告示平13第1347号第5の1「構造の安定に関すること」の基準を満たすこと。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造の詳細 1構造編 新訂三版[p115] ㈱彰国社 ㈱彰国社(2008年発行)