補修方法編

降雨による漏水 けらば水切の再施工 W-1-501
木軸・木枠
工事概要

けらば水切を取り替える。

03_木補-軸08_W-1-501_2_図上.jpgスレート屋根の場合

03_木補-軸08_W-1-501_2_図下.jpg瓦の場合

参考図(図は木造軸組工法の場合)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
    <けらば隙間からの漏水>
原因
  • 屋根工法・材料の選択不良、品質不良
  • 屋根の各部位の納まりの不良、施工不良
適用条件
  • けらば部分を施工する(近づける)安全な方法と施工スペースがあること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場の原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
部分的なはがれなどによるものか、けらば全体の納まりの不良によるものかを判断し、仮設規模を決定する。
野地板及びたる木が表しの場合は、それらのたわみを屋根の裏側からも確認する。
2.周辺屋根材のはがし、まくり上げ
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
屋根材の重ね方や納め方をできるだけ傷めないように注意しながら、周辺屋根材のはがし、まくり上げを行う。
漏水部分の状況を確認し、漏水による劣化(腐食等)の影響範囲の補修を行う。
けらば全体の工事の場合は棟、軒先部の納め方に注意する。
3.けらば水切の取替
下ぶき材の重ね方やのぼり木への巻き込み方にも注意する。
けらば側への水切立下げ長さを十分にとること。
4.釘頭シーリング
5.屋根材のかぶせ
6.片付け、清掃
7.最終確認
降雨時に浸水がないことを確認する。
足場、養生等の撤去を行う。止水を確認するまで仮設は撤去しないことが望ましい。

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
金属板の場合(引用:参考文献1)
03_木補-軸08_W-1-501_5_7_図R.jpg水切り2重折りの例(chord作成)
けらば金物納め例
備考 施工上の注意点
  • けらば回りの屋根材の一部をはがす場合には、丁寧に行わないと、はがす範囲を不用意に広げてしまう恐れがあるため留意する。
  • 新たな浸水箇所をつくる恐れがあるため、施工時には既存の屋根材との取り合いに十分注意する。
  • 木質の材料(登り淀等)が腐食するケースが多く、交換を要する場合がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築工事標準仕様書・同解説 JASS12 屋根工事(2023)[p222解説図10.14一部加筆] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会