補修方法編

床の傾斜 添え床根太による床根太の補強(2階以上の場合) F-1-201
木枠
工事概要

たわみの発生した床根太をジャッキ等で持ち上げてたわみを補正した上で、床根太の片側もしくは両側に床根太を添えて、床根太の耐力を補強する。


添え床根太による床根太の補強施工例
(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 外壁のひび割れ、欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
原因
  • 床根太の断面寸法の不足、配置・間隔の不良
適用条件
  • たわみの補正で対応できない場合には床根太を取り替える等の措置を行う。
工事手順の例
1.事前調査
現場での事前調査により、床根太の接合部に傷みがないことを確認する。
  • 補修(金物補強も含む)により構造耐力上安全であることを確認する。
2.足場の設置
たわみの発生した床根太の直下の周囲に足場を設置する。この際ジャッキ等で持ち上げるため、天井を解体する足場の設置位置が障害にならないよう注意する。
  • 足場で床仕上げを傷つけないよう、シートおよびコンパネ等による保護・養生を行う。
3.仕上材等の撤去 以下の部位を取り外し、たわんだ床根太を露出させる。
たわみの発生した床根太の下部周辺の天井の仕上材、下張材等
たわみの発生した床根太の上下階で当該床根太に接する建具および建具枠
床根太の影響で傷んだ内壁の仕上材、下張材等
床根太の影響で傷んだ直上階床の仕上材、下張材等
4.仮柱とジャッキ等の設置
仮柱を設置する位置で、荷重チェックを行った上で、角材、H鋼、コンパネ等を用いて、床組に力が伝わるよう適切な支持をとり、ジャッキ等を設置する。
5.ジャッキアップ
建物構造体及び仕上面にゆがみが生じないよう床根太直上階の床面を確認しながら5㎜程度ずつ、上階床が水平になるまで徐々にジャッキアップする。上階の床でレベル計測器を用いて、床根太が水平になりたわみが補正されたことを確認する。
6.添え床根太の取り付け
既存床根太の片側もしくは両側に添え床根太を取り付け、規定の釘打ちにて緊結する。また、添え床根太は根太受け金物等の接合金物によって支持される端根太に緊結する。
7.仮柱およびジャッキの撤去
徐々にジャッキを下げ、たわみ又は変形が生じていないことおよび上階の床が水平であることを確認した上で、仮柱およびジャッキを取り外す。
8.上階室内の補修 上階において、撤去した以下の部位を張り替える。
内壁および床の下張材、仕上材等
建具枠
9.上階建具の取り付け
取り外した建具を取り付け直す。既存の建具にゆがみ等がある場合は調整し、限界を超えるものについては交換する。
10.下階室内の補修 下階において、撤去した以下の部位を張り替える。
天井の野縁等の下張材、仕上材等
内壁の下張材、仕上材等
建具枠
  • 足場は適宜撤去する。
11.下階建具の取り付け
床根太の補強により建具等に変更がある場合は、それに応じて新規の建具枠を取り付ける。既存の建具にゆがみ等がある場合は調整し、調整の限界を超えるものについては交換して取り付ける。
12.最終確認
水準器等を用いて床仕上面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
足場などの撤去のうえ、片付け、清掃を行う。
備考 施工上の注意点
  • 設備(電気・給水・ガス)が絡む場合は、別途設備工事の撤去、再設置工事が必要となる。
  • 設備配管(電気・給水・ガス)が影響を受ける可能性がある場合は継手部分の確認を行う。
  • 添え床根太の断面寸法や長さとそのグレードおよびそれを緊結するための接合金物の釘の種類・本数は、構造計算等により決定する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2023年版[p85(4.9)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院