補修方法編

設備からの騒音、振動 遮音性能のある換気フードへの交換 V-3-004
木軸・木枠・RC造・S造
工事概要

換気フード等を介して侵入する外部騒音等に対する空気音遮断性能の向上を目的として、内部に吸音材が張り込まれた遮音性能のある換気フードへの交換を行う。


製品概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 設備からの騒音、振動(設備を介して侵入する騒音)(V-3)
原因
  • 騒音源の存する方位に対する適切な機器等(換気フード)選択への配慮不足 等
適用条件
  • 取付け作業に必要なスペース・足場が確保できること。
  • 換気フード内部に設置された吸音材表面に油分及び水分等に対して耐久性のある素材が張られた製品であること。
  • 換気フード交換後においても、必要換気量が確保できること。(※1)
工事手順の例
1.事前調査
当事者へのヒアリングを行うと共に、現場での騒音の発生状況を確認し、原因調査を行う。
原則として換気フードの空気音遮断性能の測定を行い、実態を把握する。
  • 測定方法は、JIS A 1428によるものとする。
不具合の状況から交換する必要のある換気フード等を確認し、工事計画を立てる。
2.目標性能を満たした製品の準備
事前調査で得られた結果に応じて、適用条件及び目標性能を満たす換気フード等を選定する。(※2)
3.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
4.既存換気フード等の撤去
固定金物を緩め、既存換気フード等を撤去する。
5.新設換気フードの取付け
外壁穴に新設の換気フードを挿入し、抜け止め金具により適切に固定されていることを確認する。
新設の換気フードと外壁面と間にシーリングを施す。
6.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
給気・排気が正常であることを確認する。
片付け・清掃を行う。
足場、養生等の撤去を行う。
原則として換気フードの空気音遮断性能の測定を行い、性能向上効果の確認を行う。
備考
(※1)
内部に遮音機構のある換気フードは空気抵抗が大きくなり、換気効率が落ちる場合がある。(参考:参考文献2)
(※2)
換気フードの仕様の選定にあたっては、防衛省地方協力局が提供している「住宅防音工事標準仕方書 住宅防音工事選定採用済防音材料等一覧表」や各製造所の性能測定結果が参考になる。なお、当該測定は公的な試験機関等で行われたものであることが望ましい。
  • 遮音補修は、許容できる騒音の程度には個人差があることに十分に注意して行う必要がある。少しでも音が聞こえている以上、うるさいと評価される可能性を持っている。
    したがって、遮音補修によってある一定の遮音性能を確保すれば万全ということではなく、ユーザーの要求や対象空間の音環境を十分調査する必要があるとともに、補修前に居住者等に十分に説明し、現状に対する騒音の低減の程度を理解してもらうことが重要である。(参考:参考文献1)
  • 軌道等の音の大きな場所に面している場合には、対象としている音の周波数域を把握し、効果が得られる製品を選定する必要がある。
  • 換気フード内部の吸音材は、換気フードの形状に基づき遮音性能の確保と圧力損失のバランスが適正となるよう、製造所により予めその設置範囲・形状・厚みが設定されているため、これらを変更せずに用いることが重要である。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 部位別・図解 木造住宅の防音リフォームマニュアル [p140 7.3] (財)日本住宅リフォームセンター(現・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (株)彰国社
2 音響技術No.136 [p8 A-2.外周壁(外部内部間)遮音 Q11] (一社)日本音響材料協会 (一社)日本音響材料協会
3 住宅防音工事標準仕方書 住宅防音工事選定採用済防音材料等一覧表 防衛省地方協力局 防衛省HP