補修方法編

外壁の傾斜 耐力壁の壁量増加による補強 G-1-202
木枠
工事概要
Ⅰ.
耐力壁の壁量が不足している場合、その耐力壁の構成部材を変更して壁倍率を上げることが出来る。また、開口部を耐力壁に変更し壁倍率のアップを図ることが出来る。(木造(枠組)G-1-201参照)
Ⅱ.
バランス良くする為には、剛心の位置と重心の位置を出来る限り近づける様に壁倍率を仮定する。その仮定に基づき必要箇所に構成部材の変更を施す。
(剛心と重心の位置を確認する為に『枠組壁工法建築物構造計算指針』参照。)

耐力壁の壁量増加による補強
(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ、欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
原因
  • 耐力壁量の不足
適用条件
  • 既存の耐力壁で壁倍率を上げることができる外壁または内壁がある場合に、適用可能な工法である。
工事手順の例
1.事前調査
必要な壁量を満たしているか確認する。
不足している場合は必要な耐力壁量を基に、壁長さおよび壁倍率から補強する耐力壁の仕様を決定する。
外壁の傾斜等の不具合の状況および構造のバランスから補修箇所を確定する。
  • 傾斜方向によりX方向、Y方向の向きを考慮する。
2.外壁・内壁の仕上材等の撤去
必要に応じて外部足場を設置し、シート養生を行う。
内壁・外壁の仕上材、下張材および付属設備機器等を撤去し、枠組を露出させる。
  • 内壁については廻り縁、幅木等も撤去する。
  • 外壁については是正階の上下枠が露出するまで撤去する。
3.傾斜の是正および耐力壁の変更
下げ振り等で壁の傾斜を測定しながら、ジャッキ等を使用し傾斜の是正を行う。
補修箇所の耐力壁の仕様を変更を施し、壁倍率を上げる。
下げ振り等を使用し、壁の傾斜の是正確認をする。
4.下張材の復旧
取り外した内壁・外壁の下張材を再施工する。
  • 仕上材の施工に際して、大きく納まりが変わらないように配慮する。
  • 下張材端部に受け材が無い部分は、受け材を固定し、下張材を受け材に対して十分に釘打ちする。
5.仕上材の復旧
取り外した内壁・外壁の仕上材を再施工する。
  • 既存の内壁仕上げに準じて施工する。
  • 耐力壁の強化(補強)された部分の納まりを十分に考慮し復旧する。
付属設備機器の取り付けをする。
6.最終確認
外壁の垂直等及び工事全体の仕上りを確認する。
足場等を撤去のうえ、片付け、清掃する。
備考 施工上の注意点
  • 壁倍率の強化をする場合は、接合金物の耐力の範囲内であることを確認すること。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2023年版[p100(4.10)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 2018年枠組壁工法建築物構造計算指針[p116~119] (一社)日本ツーバイフォー建築協会 丸善出版(株)