１．床鳴りとは

２．発生原因

２－１．ギシギシ、ギュギュと鳴る床鳴り(軋み音)

≪木床組仕上げ／置床仕上げ（床仕上材等に木質製品を使用した場合）≫

（１）

適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微な床鳴り
適切な設計・施工が行われていても、木質材料の通常の乾燥収縮・湿潤膨張等に起因する変形等の他、材質の異なる部材の気温による収縮率の違いにより、軽微な床鳴りが発生することがある。

（２）

床の変形
部材は、弾性限界を超えてたわんでいる場合には、ギュギュと床鳴りを伴うことがある。従って、床仕上材等が剛性不足によりたわみを発生している場合には、床鳴りが発生することがある。
また、床仕上材のたわみが発生していなくても、床仕上材を支持する部材にたわみや傾斜等の変形が生じている場合には、人の歩行等の荷重や衝撃が加わると、床仕上材等がしなって床鳴りが発生することがある。
＜床のたわみの発生原因は［床のたわみ］を参照
床の傾斜の発生原因は［床の傾斜］を参照＞

（３）

不適切な床の設計
床の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床鳴りが発生することがある。

①

床構成部材等(※)の断面寸法等

②

床構成部材等の材料の選択

③

床構成部材等の配置・間隔

④

床構成部材等の架構・接合方法

※

床構成部材等：仕上材および下地材以外の床を構成する部材。採用している床工法の分類により以下のとおり。

＜床仕上工法＞

• 直床仕上げ：コンクリートスラブ
• 木床組仕上げ：大引き、根太、床束、根がらみ貫
• 置床仕上げ：乾式二重床工法床下地材
  　　　　　　または発泡プラスチック系床下地材　　等

（４）

不適切な床の施工等
床の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合に、床鳴りが発生することがある。
（材料）

①

床構成部材等の断面寸法等

②

床構成部材等の材料の選択

③

床構成部材等の材料の品質

（施工）

④

床構成部材等の配置・間隔

⑤

床構成部材等の架構・接合方法

（５）

不適切な床仕上材等(※)の施工等
床仕上工事の段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床鳴りが発生することがある。
（材料）

①

床仕上材等の選択

②

床仕上材等の品質

（施工）

③

床仕上材等の留付け

※

床仕上材等：下地材、床材（床仕上材）

（６）

不適切な使用・メンテナンス

居住者の使用に以下のような不適切な点がある場合には、床鳴りにつながることがある。

①

重量物（ピアノ、本棚等）の設置等、想定以上の載荷

２－２．コツコツと鳴る床鳴り(ぶつかり音)

≪木床組仕上げ／置床仕上げ≫

（１）

適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微な床鳴り
適切な設計・施工が行われていても、使用する木質材料の部位で乾燥収縮・湿潤膨張等に起因する変形等の他、材質の異なる部材の気温による収縮率の違いにより軽微な床鳴りが発生することがある。

（２）

不適切な床の設計
床の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床鳴りが発生することがある。

①

床構成部材等の断面寸法等

②

床構成部材等の材料の選択

③

床構成部材等の架構・接合方法

（３）

不適切な床の施工等
床の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床鳴りが発生することがある。
（材料）

①

床構成部材等の断面寸法等

②

床構成部材等の材料の選択

③

床構成部材等の材料の品質

（施工）

④

床構成部材等の架構・接合方法

（４）

不適切な使用・メンテナンス
居住者の使用に以下のような不適切な点がある場合には、床鳴りにつながることがある。

①

重量物（ピアノ、本棚等）の設置等、想定以上の載荷

２－３．キイキイと鳴る床鳴り(擦れ音)

≪直仕上げ／木床組仕上げ／置床仕上げ≫

（１）

適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微な床鳴り
適切な設計・施工が行われていても、使用する木質材料の部位で乾燥収縮・湿潤膨張等に起因する変形等の他、材質の異なる部材の気温による収縮率の違いにより軽微な床鳴りは発生することがある。

（２）

不適切な床の設計
床の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床鳴りにつながることがある。

①

床仕上材等の断面寸法等

②

床仕上材等の材料の選択

（３）

不適切な床の施工等
床の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床鳴りにつながることがある。
（材料）

①

床仕上材等の断面寸法等

②

床仕上材等の材料の選択

③

床仕上材等の材料の品質

（施工）

④

床仕上材等の接合・留付け

（４）

不適切な使用・メンテナンス
居住者の使用に以下のような不適切な点がある場合には、床鳴りにつながることがある。

①

重量物（ピアノ、本棚等）の設置等、想定以上の載荷

②

水を長期間こぼした状態で放置したことがある。

• 床鳴りは、発生する音が「軋み音か、固いものにぶつかる音か、擦れる音か」という音の性状を聞き分けることで、大まかな発生原因を推定できる。
• 軋み音や擦れ音の場合には、木質材料が乾燥しているほど音が鳴りやすいため、晴天の日や冬季には鳴りやすく、反対に雨天の日や夏季には鳴りにくいという特徴を持っている。
• まず、音の種類と床鳴りの状況を確認することにより、音が発生する原因を推定する。

１．音の種類の確認

（１）調査方法

• 晴天で空気が乾燥している日を選び、床鳴りの発生している箇所の周辺を少しずつ移動しながら歩行し、音の種類を聞き分ける。
• 短期間の内に、雨天で湿度が高い日があれば、上記と同様の確認を再試行する。

（２）注意事項等

• 特になし

• 木材の軋み音（ギシギシ、ギュギュ）である場合は、直下の床組に起因する可能性がある。
• 固いものにぶつかる音（コツコツ）である場合は、ぶつかり合う部材の少なくとも一方は、コンクリート等の固いものであると想定される為、床の構造の中で、コンクリートスラブや金属材料等の固いものと接する部分の何らかの不具合事象による床鳴りの可能性がある。
• 床の仕上げが木質系材料であり、かつ、擦れ音（キイキイ）である場合は、フローリング材どうしが擦れあうことによる床鳴りの可能性がある。

• 晴天の日や冬季には鳴りやすく、反対に雨天の日や夏季には鳴りにくい場合は、材と材とが擦れあっている可能性がある。
  （木材が乾燥している状態の方が鳴りやすいということから判断して、材のあばれ等による断面寸法のくるいが影響していると考えられるため）

• 特になし

（１）

軋み音の場合

• 次のいずれかの事項について、適切な設計が行われていない場合は、接合部の剛性等が不足していることが原因で床鳴りが発生している可能性が高い。

  ①

  床構成部材等の断面寸法等

  ②

  床構成部材等の材料の選択

  ③

  床構成部材等の配置・間隔

  ④

  床構成部材等の架構・接合方法

（２）

ぶつかり音の場合

• 次のいずれかの事項について、適切な設計が行われていない場合は、横架材または接合部の剛性等が不足していることが原因で床鳴りが発生している可能性が高い。

  ①

  床構成部材等の断面寸法等

  ②

  床構成部材等の材料の選択

  ③

  床構成部材等の架構・接合方法

• 「③床構成部材等の架構・接合方法」について、ボルト接合、または木材の緊結等が適切でない場合は、材の転びや衝撃による変形等を誘発し、材どうしがぶつかり合って床鳴りが発生している可能性が高い。

（３）

擦れ音の場合

• 次のいずれかの事項について、適切な設計が行われていない場合は、床仕上材の寸法にくるいを生じ、材どうしがつなぎ目で擦れあうことによって床鳴りが発生している可能性が高い。

  ①

  床仕上材等の断面寸法等

  ②

  床仕上材等の材料の選択

• 特になし

• 適切な設計・施工が行われていても、通常では想定されない使用、不十分なメンテナンスが原因となって、不具合が発生することもあるため、不適切な使用やメンテナンスの有無を確認する。

１．メンテナンス状況の居住者へのヒアリング確認

（１）調査方法

• 重量物（ピアノ、本棚等）の設置等、想定以上の物を置いていないかを居住者へ確認する。
• 水をこぼしたまま放置していた等、長期にわたる湿潤状態での放置の有無を、居住者へ確認する。

（２）注意事項等

• 重量物が置かれていない場合でも、過去に置かれていたかを確認する。

• 長期間にわたり水をこぼしたままであった等、長期間湿潤状態に置かれていた場合は、これが原因で床下地、床構成部材等の鋼材（置床の床下地材の脚部）の発錆・腐蝕、木材の腐朽等を誘発し、床鳴りが発生している可能性が高い。

• 特になし