１．天井のたわみとは

天井のたわみ（chord作成）

たわみの概念図（chord作成）

※

天井のたわみは、たわみが生じている部分の水平方向距離(支持間隔)（Ｌ）に対する最大たわみ量（たわみの中心）の距離（ｄ）＝ｄ／Ｌで表す。

• 「インテリア大事典」p573（壁装材料協会編（現（一社）日本壁装協会）発行）

２．発生原因

（１）

適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微なたわみ
適切な設計・施工が行われていても、天井自体の重さや上階の荷重等の影響による軽微なたわみは発生することがある。

（２）

床・小屋組の変形等
床の変形に伴う「床の傾斜」や「床のたわみ」、「屋根（小屋組）の変形」等、他の不具合に連動して「天井のたわみ」が発生することがある。特にふところの浅い天井の場合や、構造体に直に天井下地を固定する場合には、構造体の変形が天井のたわみとなって現れやすい。（床の傾斜やたわみの発生原因は［床の傾斜］、［床のたわみ］，屋根の変形の発生原因は［勾配屋根の変形］を参照）

（３）

不適切な天井の設計
天井の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、天井のたわみにつながることがある。

①

床・小屋組・天井下地構成材の断面寸法等

②

床・小屋組・天井下地構成材の材料の選択（接着剤の選択を含む）

③

床・小屋組・天井下地構成材の配置・支持間隔

④

天井仕上材等（※）の割付け

※

天井仕上材等：天井仕上材、天井下地材

（４）

不適切な天井の施工等
天井の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、天井のたわみにつながることがある。
（材料）

①

床・小屋組・天井下地構成材の断面寸法等

②

床・小屋組・天井下地構成材の材料の選択

③

床・小屋組・天井下地構成材の材料の品質

（施工）

④

床・小屋組・天井下地構成材の配置・支持間隔

⑤

床・小屋組・天井下地構成材の架構・接合方法

（５）

不適切な天井仕上材等の施工等
天井仕上げの工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、天井のたわみにつながることがある。
（材料）

①

天井仕上材等の選択

②

天井仕上材等の品質

（施工）

③

天井仕上材等の留付け（接着剤による接着を含む）

（６）

不適切な使用・メンテナンス
居住者が、重量の大きい照明器具や設備機器等を天井に設置した場合等は、設計時に想定していない荷重がかかり、天井のたわみにつながることがある。

１．床・小屋組・天井下地構成材の設計内容の確認

①

床・小屋組・天井下地構成材の断面寸法等

②

床・小屋組・天井下地構成材の材料の選択（接着剤の選択を含む）

③

床・小屋組・天井下地構成材の配置・支持間隔

④

天井仕上材等の割付け

（１）調査方法

• 当該住宅の設計図書（設計図、仕様書等）を対象として、上記＜確認のポイント＞に沿って、各部材の断面寸法・配置、間隔等が適切であるかを確認する。なお、適切であるかの検討にあたっては、建設住宅性能評価関連図書により、また国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」及び下表やメーカーの標準仕様書、その他の仕様書、基準等が参考となる。
• 確認する主要な対象部位は、木製下地、金属製下地共、インサート、吊木又はつりボルト、ハンガ、野縁受桟又は野縁受け、クリップ、野縁とする。（参考３）
• 金属製下地は軽量鉄骨製のメーカーの標準規格品やＪＩＳ規格品を使用することが多いため、メーカーの標準仕様書やJIS（JIS A6517:2010(建築用鋼製下地材(壁・天井))）等にも照らして確認する。

※

上記は標準例であり､天井仕上材等の重量や割付けにより部材断面や間隔は調整される。

（２）注意事項等

• 天井仕上材等の重量が重い場合には、天井下地構成材の断面寸法を大きくしたり、材質をより堅固なものにしたり、支持間隔を短くしたりする等の対処が必要となるため、天井仕上げ等が一般的な重量のものかを確認したうえで寸法等を確認する。

• 「公共建築工事標準仕様書（建築工事編）令和４年版」（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）

• 「公共建築工事標準仕様書（建築工事編）令和４年版」p195～196, p215～217（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）

１．書類による確認

（材料）

①

床・小屋組・天井下地構成材の断面寸法等

②

床・小屋組・天井下地構成材の材料の選択

③

床・小屋組・天井下地構成材の材料の品質

（施工）

④

床・小屋組・天井下地構成材の配置・支持間隔

⑤

床・小屋組・天井下地構成材の架構・接合方法

（１）調査方法

• 施工記録（施工図、工事状況報告書、工事写真等）及び建設住宅性能評価関連図書により、上記＜確認のポイント＞に沿って、把握できる範囲において、天井下地に係る工事が設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」「建築工事監理指針」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。

（２）注意事項等

• 特になし

２．目視等による施工状況等の確認

（１）調査方法

• 書類により確認した内容と実際の施工状況が一致しているか、不適切な施工が行われていないかを現場において目視・測定等により確認する。
• 部材や接合部に損傷が生じていないかを目視等により確認する。
• 問題の箇所が発見された場合には、写真等で記録をとる。確認した結果を、設計図書等と照らし合わせて確認する。
• 天井、小屋裏は、天井点検口の他、押入等の天井を外して目視等により確認する。

（２）注意事項等

• 必要に応じ、天井点検口を新設し、又は下階の天井を確認するため上階の床板の一部をはがし、その部分より目視等により確認する。

• 「公共建築工事標準仕様書（建築工事編）令和４年版」（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）

• 「建築工事監理指針　令和４年版(下巻)」（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）

１．書類による確認

①

天井仕上材等の選択

②

天井仕上材等の品質

（１）調査方法

• 施工記録（施工図、工事状況報告書、工事写真等）及び建設住宅性能評価関連図書により、上記＜確認のポイント＞に沿って、把握できる範囲において、天井仕上材に係る以下の項目が設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」「建築工事監理指針」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。

  ①

  天井仕上材等の選択

  • 種類・規格・メーカー等

  ②

  天井仕上材等の品質

  • 材質・厚み等

（２）注意事項等

• 特になし

２．目視等による施工状況等の確認

③

天井仕上材等の留付け（接着剤による接着を含む）

（１）調査方法

• 天井面を直接あるいは天井点検口等より目視し、下記の点を中心に施工状況等を確認する。
• 必要に応じ、変形が生じている部分の仕上材等の一部を剥がし、留付け方法等を確認する。

  ③

  天井仕上材等の留付け（接着剤による接着を含む）
  ＜板張り・ボード張り＞

  • 仕上材の浮きやはがれ
  • 金物（釘、ステープル、小ねじ等）の留付け方法（参考８）

  ＜壁紙張り＞

  • 仕上材の浮きやはがれ
  • 接着剤の仕様、施工方法

（２）注意事項等

• 特になし

• 「公共建築工事標準仕様書（建築工事編）令和４年版」（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）

• 「建築工事監理指針　令和４年版(下巻)」（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）

• 「公共建築工事標準仕様書（建築工事編）令和４年版」p361（国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、（一社）公共建築協会発行）