補修方法編

結露 天井断熱材の不連続部分の修正 W-3-102
木軸
工事概要

(天井敷込)断熱材の不連続部分を連続させる。(重ね代を設ける。)


断熱材のすき間生じやすい箇所
(引用:参考文献1)
対応する不具合と原因 不具合
  • 結露(W-3)
原因
  • 断熱材の使用、設置箇所不良、施工不良
  • 施工中の養生不足
適用条件
  • 天井に柔軟性を有するフェルト状のグラスウール等の繊維系断熱材が敷き込まれている場合に適用する。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場の原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
当該箇所の周囲に点検口があるか、あるいは天井材の一部を撤去し、内部の作業スペースを十分に確保できるかを確認しておく。
2.天井仕上材の一部撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
工事用の開口を45~60㎝角程度開ける。(体を中に入れて作業をするため。)
3.結露箇所の乾燥
しみになった箇所は十分に乾燥させる。
天井裏面で断熱材および防湿層の間に隙間がないか確認する。
4.断熱材の敷込み
断熱材は当該箇所よりも片側20~30㎜程度ずつ広めのものを隙間のないよう押しつけながら敷き込む。
作業穴の部分は最後にかぶせられるように折っておく。(防湿フィルムに若干の隙間は生じる。)
5.工事用の開口を補修
工事用の開口はできれば天井の点検口として施工しておく。点検口のふたの裏にポリスチレンフォーム等の硬質板状のプラスチック系断熱材を張り付け、閉めたときにグラスウール等が、十分な重ね代を持つようにしておく。
6.内装仕上げ
撤去した内装仕上材を復旧する。
  • 点検口が必要な箇所にない場合には、点検口を設ける。
7.片付け、清掃
足場、養生等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
  • 施工上、断熱材の連続性の確保(欠損防止)が重要である。一層の断熱材の施工は困難であり、50㎜や100mmを2枚用いて確保する方法もある。
  • 壁や庇等の部位によって、断熱材の種類や作業方法は異なる。
  • 高気密住宅の場合は、補修用に設置した点検口の納まりや、施工全体にわたり気密性が損なわれないように、十分配慮する。
①天井の断熱材施工例(引用:参考文献1)
②外壁と天井取り合い部の断熱材施工例(充填断熱)(引用:参考文献1一部加筆)
03_木補-軸08_W-3-102_6_2図_2023
③下屋部の天井断熱材の施工例(充填断熱)(引用:参考文献1一部加筆)

03_木補-軸08_W-3-102_6_3図_2023
④外壁と天井取り合い部の断熱材施工例(外張断熱)(引用:参考文献1一部加筆)

03_木補-軸08_W-3-102_6_4図_2023
  • 天井と外壁の断熱材が取り合う軒桁の下部に断熱材を充填する。

⑤下屋部の天井断熱材の施工例(外張断熱)(引用:参考文献2一部加筆)

03_木補-軸08_W-3-102_6_5図_2023
(※1)気流止めの施工
外壁及び間仕切り壁の上下端部では、壁の内部空間が、床下や小屋裏などに開放されている場合が多い。この場合、床下から壁体内部を通じて小屋裏へ至る気流が発生し、住宅の断熱性能を低下させることとなる。このような気流の発生を防止するためには、壁の上下端部に、気密性に優れた材料を用いて「気流止め」を設置する必要がある。気流止めには、乾燥木材、合板、シート状防湿材などを使用する。(引用:参考文献1)

(※2)断熱補強
外壁部分に下屋のたる木が取り付き、断熱材が不連続となる場合は、断熱欠損とならないよう断熱補強を行い、断熱層、防湿層が連続するよう注意して施工する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅工事仕様書 2023年版[p153~198,p176参考図7-1.4.8-1,p178参考図7-1.4.10-1,p179参考図7-1.4.10-2(A)一部加筆・(B),p180参考図7-1.4.10-3(C)一部加筆] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 住宅の省エネルギー 設計と施工2023 4~7地域版 <改正>平成28年省エネルギー基準対応 (令和5年10月)[p125~126 7.2](省エネ講習資料作成WG) (一社)木を活かす建築推進協議会