補修方法編

外壁の傾斜 壁表層面の打直し補修 G-1-305
RC造
工事概要
  • 既存の耐力壁及び非耐力壁(以下RC壁)の欠損部分等の断面修復を行う。
  • 壁の打直し補修(耐力壁等)(RC造G-1-304)よりも、コンクリートの不具合が小さく、深さも壁筋までとする。
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概念図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
原因
  • 柱・梁・壁の配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • コンクリートの打込み・締固めの不良、養生の不良
適用条件
  • 補修工事に伴う荷重の変動を考慮した長期荷重によって既存の全ての架構に生ずる力が長期許容応力度内に収まっており、原則として躯体コンクリートに不良箇所がない場合に適用が可能である。
  • RC壁の厚さ、配筋には問題なく、ひび割れ、欠損等での修復に適用する。
  • 耐力壁の両面補修が必要な場合は、片面毎に工期をずらして行う場合に適用可能である。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査、構造計算等により適用条件を満たしていることを確認する。
2.既存仕上材の
  撤去・養生
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
RC壁に接する内装仕上材で工事の影響を受ける範囲を撤去し、コンクリート面を露出させる。
3.準備
脆弱部をはつり取り、健全なコンクリート下地を出し、又、目荒らしを行う。
鉄筋が露出している場合はさびを除去し、防せい処理を施す。
4.ひび割れ補修
RC壁に構造ひび割れがある場合は、樹脂注入工法により補修する。(RC造G-2-301参照)
5.欠損部の補修と清掃
欠損部が大きい箇所は充填工法に基づいてエポキシ樹脂モルタル(又はポリマーセメントモルタル)を充填する。(RC造G-2-304参照)
プライマーを塗布する。
6.型枠の加工・
組立
必要に応じてセパレータを延長して型枠を組み立てる。
グラウト材が漏れないように、漏れ防止処置を行う。
型枠にはモルタル注入孔と空気抜きを設置する。
7.グラウト材の圧入・養生
グラウト材を混練する。グラウト材の強度は既存コンクリートと同等以上とする。
グラウト材をポンプで注入する。注入時の圧送量、注入圧力に十分注意する。グラウト材が打込み時の衝撃で分離しないように十分注意する。
注入されたグラウト材の養生時の温度および養生期間は、グラウト材製造メーカーの仕様に基づくものとし、この養生期間(5日~7日間程度)は原則として型枠を残すことが望ましい。(参考:参考文献1)
8.内装仕上材の復旧
型枠撤去後、撤去した内装仕上材(床、壁、断熱壁、天井)を復旧する。
9.最終確認
工事全体の仕上りを確認する。
足場、養生等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
  • RC壁のコンクリート補修が軽微な場合は本工法により、他の住戸は住み続けた状況での補修が可能である。
  • 本施工に伴い、住戸壁回りの電気、給排水設備の切断、再接続工事が発生する場合がある。
  • 外壁部に発生している場合には、外壁のひび割れ補修、タイル張替え等の工事を伴う。
  • 型枠を使用しないで、セメントモルタルを吹付けて補修する吹付け工法もある。
  • 耐力壁の厚さが既存壁より増される場合は、耐力壁の剛性増大の影響を考慮すること。
  • RC壁の増厚の厚さが大きい場合は、はく離防止の措置を行うこと。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築改修工事監理指針 令和4年版(下巻)[p495~497(8.21.9)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター