補修方法編

その他の騒音 バルコニー手すりの風騒音(笛吹き音)を防止する
補助部材の設置
SO-5-302
RC造
工事概要

バルコニーの手すりからの風騒音(笛吹き音)の発生防止を目的として、騒音発生の原因となっている部材に補助部材を設置する。


風騒音(笛吹き音)防止の補修例(chord作成)
(参考:参考文献1)
補修を行った部分を赤色で示す。
対応する不具合と原因 不具合
  • その他の騒音(バルコニー手すり構成部材からの騒音)(SO—5)
原因
  • バルコニー手すりの設置環境における部材形状等の配慮不足
適用条件
  • 作業に必要なスペース・足場が確保できること。
  • 風騒音の種類が手すり構成部材の断面形状に基づく笛吹き音であること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者へのヒアリングを行い、現場での原因調査を行う。
不具合の状況から改善する必要のある範囲を確認し、工事計画を立てる。
2.騒音が解消される工法及び製品の選定
事前調査で得られた結果に応じて、適用条件を満たし、騒音が解消される工法及び製品を選定する。
3.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
4.補助部材の設置
手すり下弦材の下部に補助部材を取り付ける。
5.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場、養生等を撤去の上、片付け、清掃を行う。
風騒音(笛吹き音)が解消されたことを確認する。
備考
  • 手すりやルーバー等から発生する風騒音には笛吹き音(キャビティ音)のほか、剛性不足による渦励振現象やエッジ部分で発生するはく離流による共振から放射される騒音もある。(参考:参考文献1)
  • (公社)日本騒音制御工学会研究部会不思議音分科会では、本補修方法で取り扱っている風騒音等の「建物で生じる発生原因の特定が困難な音、また、特定が困難であった音」を「不思議音」と定義している。(参考:参考文献2)
  • 不思議音に関する測定・評価方法は、未だ規格基準等として定まったものがなく、原因の究明も個々の機関が工夫して行っている状況にある。解決までに要する期間も一般の騒音に比べて長く、労力、経費ともに甚大になることが多い。また、部材の熱伸縮に伴う部材接点からの発生音などの場合は、同一の材料を用いて同一の施工をしていても音が生じる場合と生じない場合があり、発生を予測することは現在の技術レベルでは難しい。トラブルを早期に円満に解決するためには、当事者の心的負担を和らげる意味合いからも、初期段階での適切なヒアリングが肝要である。(引用:参考文献2)
  • 不思議音に関する理解を深め、また、原因究明のための参考情報として、不思議音の代表的な事例が(公社)日本騒音制御工学会のホームページに掲載されているので参照されたい。

遮音補修における注意点
遮音補修は、許容できる騒音の程度には個人差があることに十分に注意して行う必要がある。少しでも音が聞こえている以上、うるさいと評価される可能性を持っている。
したがって、遮音補修によって騒音を一定程度低減すれば万全ということではなく、ユーザーの要求や対象空間の音環境を十分調査する必要があるとともに、補修前に居住者等に十分に説明し、現状に対する騒音の低減の程度を理解してもらうことが重要である。(参考:参考文献3)

施工上の注意点
  • 補修を実施することにより、他の音の発生の原因にならないように事前に確認をする。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 音響技術No.85 [p15]、No.128 [p35 図12] (一社)日本音響材料協会 (一社)日本音響材料協会
2 建築技術2016年2月号 [p148,151] (株)建築技術 (株)建築技術
3 部位別・図解 木造住宅の防音リフォームマニュアル [p140 7.3] (財)日本住宅リフォームセンター(現・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (株)彰国社
4 不思議音分科会[不思議音事例] (公財)日本騒音制御工学会 不思議音分科会 (公財)日本騒音制御工学会HP