補修方法編

外壁のひび割れ・欠損 シール工法(ALCパネル) G-2-701
RC造
工事概要

ALCパネルのひび割れ部分にこてなどを用いて、下地調整材にてひび割れをシールする工法である。(引用:1(1))

06_RC補-03_G-2-701_2_図_2024
工事概要図(引用:1(2)一部修正)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ
原因
  • ALCパネル取付け構法の選択不良
  • ALCパネル・取付材(※1)の選択不良、品質不良、断面寸法等の不足、配置・支持間隔・納まりの不良
  • ALCパネル等の割付け不良
  • ALCパネルへの荷重想定の不適
  • ALCパネル工事に付帯する関連工事(建具工事、内装工事等)の施工不良


適用条件
  • ひび割れ幅が0.2mm未満の場合に適用する。(引用:1(1))


【確認事項】
  • ひび割れの原因が、構造耐力上の問題の場合は、補強工事等の実施によりその問題が取り除かれていることを専門家の調査により確認する。
  • 補修により、美観上の問題が生じないことを確認する。




工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れの発生状況を確認し、工事計画を立てる。
下地調整材(※2)等の選定を行う。
2.足場の設置
足場を設置し、工事中に発生する粉塵等が隣地に飛ばないよう、その外回りに防塵シートを張る。
3.下地処理
表面の汚れ、付着物を刷毛、皮スキ、ワイヤブラシ等で除去する。
劣化している既存塗膜の除去を行う。
4.ALCパネル表層の脆弱部の除却及び補修
ALCパネル表層に脆弱化した部分がある場合には、表層脆弱部を除去し、除去した断面を断面修復材で補修する。(引用:1(1))(※3)
5.下地調整材の塗布
下地調整材をこてなどを用いて、所定量、均一に塗付ける。(引用:1(3))(※4)
6.養生
雨水等を防ぐため、シート養生を行う。
7.下地の確認
塗り仕上げを行うのに十分に平たんな下地の状態かどうかを確認する。
8.塗り仕上げ
既存塗膜の色に合わせて出隅部、入隅部など見切りの良い範囲まで、塗り仕上げを行う。
9.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
hosoku補足

(※1)取付材:定規アングル等の下地鋼材、開口補強鋼材、イナズマプレート等の取付け金物等。ALCパネルの取付のために必要となる部材で、取付け構法や取付箇所により異なる。

(※2)下地調整材としては、主にALC用の樹脂系の既調合ポリマーセメントモルタルが用いられる。 (引用:1(1))

(※3)ALCパネルの補修については、「JASS21ALCパネル工事7.2.7パネルの補修・座堀り部の埋戻し」 が参考となる。

(※4)軽微な補修の場合、下地調整材を用いず、弾性系の塗料で仕上げることでひび割れをシールする場合もある。 (引用:1(1))

備考
  • ALCパネルには、「厚形パネル(厚さ75㎜以上、200㎜以下)」と「薄形パネル(厚さ35㎜以上、75㎜未満)」があるが、本シートでは、厚形パネルを用いた外壁を対象とする。なお、厚形パネルを用いた外壁は、指針や標準仕様書において厚さ100㎜以上のパネルを用いることとされている。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 ALC外壁補修工法指針・同解説(第2版)[(1)p42、(2)p43(解説図5.2)、(3)p51] 日本建築仕上学会
ALC外壁補修工法研究委員会
日本建築仕上学会