補修方法編

結露 断熱材の不連続部分の補修 W-3-301
RC造
工事概要
  • しみ・カビ等が発生した内装仕上材を張り替える。
  • 断熱材を必要な箇所に施工する。

断熱(梁部)の例
(引用:参考文献1一部加筆)

平面(界壁),立面(界床)の例
(引用:参考文献2一部加筆)
対応する不具合と原因 不具合
  • 結露(W-3)
原因
  • 計画の配慮不足
  • 断熱材の断熱・気密・防湿仕様、設置箇所不良、施工不良
  • 施工中の養生不良
適用条件
工事手順の例
(平28国交告第266号「住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準」(以下、住宅仕様基準という)に基づき、内断熱工法で施工する場合)
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での原因調査を行う。
住まい手の暖房器具の使い方等を特にチェックしておく。
2.仕上材の撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
内装仕上材を一部はがし、結露範囲を確認した上で、不良部分を撤去する。しみ、カビ等が著しく発生している場合は当該壁面の仕上材を全て撤去する。
3.結露面の乾燥と清掃
湿気、カビは完全に取り除くこと。
4.下地面処理
断熱材を施工する部分の下地の凹凸をなくし、密着できる面をつくる。
5.断熱材の施工
構造熱橋部となる床又は屋根のスラブ、間仕切壁等は、下表のとおり、地域区分による断熱補強の範囲に熱抵抗の基準値以上の断熱材を施工する。(※1)
06_RC補-08_W-3-301_5_5_1表 2022

   構造熱橋部における内断熱工法の断熱補強の基準
(平成28年省エネルギー基準:平28国交告第266号(住宅仕様基準)抜粋)

外気に面するスラブの梁(外側に断熱材が施工されているものを除く)は、必要な熱抵抗の基準値以上の断熱材を施工する。そのほかの必要な箇所も同様とする。

内断熱工法における構造熱橋部の例(引用:参考文献3)
(○印は構造熱橋部を示す)
6.内装再施工
断熱材の室内側に防湿層を施工する。(※2)
足場、養生等の撤去を行う。
7.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
備考
(※1)
構造熱橋部における結露の発生を防止するための断熱補強の部位・範囲・基準値は平13国交告第1347号 第5の5-1(3)ハに規定されており、これによることもできる。ただし、当規定は構造熱橋部の熱損失を防止するための基準ではないことに注意を要する。
(※2)
ボード状プラスチック系断熱材を後張り施工する場合は、全面接着が基本となり、断熱材と躯体の間で空隙が生じないよう、接着面を平滑に均し、清掃した上で、接着モルタルを厚く用いるか、くしびきして断熱材とコンクリートを全面密着させる。(引用:参考文献3)

  • 内断熱工法のほかに、外断熱工法、内断熱工法と外断熱工法を併用する工法がある。参考として、屋上屋根部分を外断熱工法とし、屋上屋根以外を内断熱工法とした場合における構造熱橋部の例を以下に示す。


併用工法(屋上屋根部分:外断熱工法、屋上屋根以外:内断熱工法)における
構造熱橋部の例(参考:参考文献3一部加筆)
(○印は構造熱橋部を示す)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築技術1993年12月号[p139,141] 山田雅士 (株)建築技術
2 建築技術1996年12月号[p80,81] 黒木勝一 (株)建築技術
3 住宅の平成25年省エネルギー基準の解説(第1版) [p322 図6.1.5,p350,353] 住宅の平成25年省エネルギー基準の解説 編集委員会 (一財)建築環境・省エネルギー機構
4 建築工事標準仕様書・同解説 JASS24 断熱工事(2013)[p75~81] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
5 住宅性能表示制度 日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説(新築住宅)2022[p345~346](国土交通省住宅局住宅生産課/国土交通省国土技術政策総合研究所/国立研究開発法人建築研究所) (一財)日本建築センター 工学図書(株)