補修方法編

降雨による漏水 打継ぎ部のシーリング材の打替え W-1-310
RC造
工事概要

躯体ひび割れ処置の上、打継ぎ部のシーリング材を打ち替える。


不具合例(引用:参考文献1)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 外壁のひび割れ・欠損
適用条件
  • 躯体のひび割れが打継ぎ目地部に限られることが確認された場合に適用可能である。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
2.足場の設置
工事対象箇所に外部足場を設置する。
3.漏水している周辺仕上材の撤去
特にタイル張り裏側に水が回っている場合は、打診により音で確認し、浮いている部分は全て撤去する。
吹付け仕上げの場合は浮いている部分のみはがす。
4.ひび割れ補修
ひび割れ幅が大きい時は、目地底をさらにカットしシール材を入れる。

目地の処理例(引用:参考文献2)
5.外装再施工(吹付け仕上げの場合)
6.シーリング材の施工
ひび割れが微小であれば、目地底を清掃して三面接着で、弾性シーリング材を施工する。
躯体に設ける打継ぎ目地は、防水を第一の目的としているので、三面接着とする。(一般に、打継ぎ目地、ひび割れ誘発目地、サッシ回りなどのノンワーキングジョイントのシーリングは三面接着とする。)(参考:参考文献3)
シーリング材は、JASS8防水工事、公共建築工事標準仕様書を参考にして適材適所のものを使用する。
シーリング作業は、外気温5℃以上、湿度80%以下の環境で行うものとし、降雨時や強風時(10m/sec以上)は施工しない。
コンクリートの打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地は、幅20㎜以上、深さ10㎜以上とする。
7.外装再施工(タイル張りの場合)

06_RC補-08_W-1-310_5_7_図.jpg
タイル後張りの目地(引用:参考文献4)
8.タイル目地シーリング材の施工
タイルの伸縮目地は,躯体伸縮目地・下地モルタル伸縮目地・タイル伸縮目地の位置ができる限り一致するようにする。(参考:参考文献2)
タイル伸縮目地のシールは,タイル洗いおよびサッシクリーニング完了後あまり日数を置かず,乾燥状態を確認してシールを施工する。洗浄前にシール施工するとタイルやサッシの表面にホコリ,目地材等が付着してシールの接着が弱くなる。タイル洗いに酸を使用した場合は,特に水洗いを十分行う。(参考:参考文献2)
9.最終確認
降雨時に浸水がないことを確認する。
足場を撤去のうえ、片付け、清掃を行う。
備考
  • 躯体への漏水は、鉄筋の発錆、膨張等につながり、周辺のコンクリートを押し出し剥離させる原因となる場合がある。(参考:参考文献3)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築技術1993年12月号[p117] 佐藤紀男 (株)建築技術
2 建築技術1995年1月号[p75,79] 木村郁夫 (株)建築技術
3 建築工事 瑕疵・クレーム防止技術マニュアル
改訂版[p111](絶版)
(社)建築業協会 建築施工部会・
瑕疵保証分科会
(社)建築業協会
4 建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p452図4.4.9 ロ](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター