補修方法編

外壁のひび割れ・欠損 タイル張替え工法 G-2-307
RC造
工事概要

既存タイル張り外壁のはく落部(はく落するおそれのある浮き部を含む)の補修あるいはタイル陶片のはく離や大面積のはく離の場合に、既存タイルを撤去し、新たにモルタルの塗替え及びタイルの張替えを行う工法である。(参考1(1))(※1)


タイル部分張替え工法例(引用3(1))




タイル張替え工法例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ・欠損
原因
  • 柱・大梁・小梁・壁の配筋方法の不良
  • コンクリートの打込み・締固めの不良、養生の不良
  • 工事中の一時的な過荷重の積載
  • 伸縮調整目地の入れ方の不良
  • ひび割れ誘発目地の入れ方の不良
  • 下地調整層の不良
  • 外壁仕上材等の選択・品質不良、養生不良
適用条件
  • 既存タイルと同じ又は美観的に調和できるタイルが用意できる場合に適用する。
  • タイル部分張替え工法:(引用2(1))
    既存の下地モルタル等を撤去せず、1箇所当たりの張替え面積が0.25㎡程度以下の場合に適用する。
  • タイル張替え工法:(引用2(2))
    下地モルタルを撤去する場合(存在しない場合を含む)に適用する。
工事手順の例

(既存のタイル張付け材がセメントモルタルの場合)

1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
タイル張りのひびわれ、はがれ等の状況を確認し、工事計画を立てる。
2.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、撤去時に発生する粉塵が隣地に飛ばないようその外回りに防塵シートを張る。
3.タイルの撤去
張替え部と健全部の縁を切るためダイヤモンドカッタ等を用いて張替え部の周辺を切断する。
張替え部のタイル及びモルタルを撤去する。

3から
タイル部分張替え工法の場合
4.タイルの張付け
  • ひび割れ・欠損や張付けモルタルの厚さにより選定した接着張付け材料(ポリマーセメントモルタル又は外装タイル張り用接着剤)に応じて下地面を調整する。

ポリマーセメントモルタルを使用する場合(引用2(2))
張替え下地面の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
ポリマーセメントモルタルを製造所の仕様により調合し、均一になるまで混練りする。混ぜる量は、1回の張付け面積分とする。
張替え下地面とタイル裏面の両面にポリマーセメントモルタルを塗り付け、タイルを張り付ける。
タイル目地詰めは、タイル張り完了後、24時間以上の養生を行った後に行う。目地幅の大きい場合は、目地用モルタルを確実に充填したうえで目地押えを行う。目地幅の小さい場合は、塗り目地とする。目地深さはタイル厚の1/2 以内とする。

外装壁タイル接着剤張りの接着剤を使用する場合(引用2(2))
張替え下地面をよく乾燥させる。
接着剤は、容器から取り出して直ちに使用する。
張替え下地面に接着剤を塗布し、タイルを張り付ける。
タイル目地詰めは、「ポリマーセメントモルタルを使用する場合」の④と同様とする。
6へ
3から
タイル張替え工法(セメントモルタル張りタイル下地)の場合(※2)
4.セメントモルタル張りタイル下地の施工
下地モルタルの面は、木ごて押さえとするなど、タイル張り工法の仕様に適する仕上げとする。(参考2(3))
タイル張りに先立ち、下地モルタルに適度に水湿し又は吸水調整材塗布を行う。(引用2(4))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

吸水調整材塗り(引用4(1))

モルタルの練混ぜは、原則として機械練りとする。1回の練混ぜ量は、60分以内に張り終える量とする。(引用2(5))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

混練り(引用4(1))
5.タイルの張付け
密着張りの場合
張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2㎡/人以内とする。(引用2(4))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
しごき塗り(引用4(1)) 上塗り(引用4(1))

張付け順序は、目地割りに基づいて水糸を引き通し、窓、出入口回り、隅、角等の役物を先に行う。(引用2(4))
張付けは、張付けモルタルの塗付け後、タイルをモルタルに押し当て、タイル張り用振動機(ヴィブラート)を用い、タイル表面に振動を与え、張付けモルタルがタイル裏面全面に回り、さらに、タイル周辺からモルタルがはみ出すまで振動機を移動させながら、目違いのないよう通りよく張り付ける。(引用2(4))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

タイル張付け(引用4(1))

化粧目地は、次による。
・タイル張付け後、24時間以上経過した後、張付けモルタルの硬化を見計らって、目地詰めを行う。
・目地の深さは、タイル厚さの1/2以下とする。
・目地詰めに先立ち、タイル面及び目地部分の清掃を行い、必要に応じて目地部分の水湿しを行う。
・目地用モルタルを確実に充填したうえ、モルタルの硬化を見計らい、目地押えを行う。(引用2(6))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

目地直し(引用4(1))
モザイクタイル張りの場合
張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、3㎡/人以内とする。(引用2(7))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
しごき塗り(引用4(2)) 上塗り(引用4(2))

張付けモルタルを塗り付けた後、ユニットタイルを張り付け、縦横及び目地幅の通りをそろえ、適切な方法で目地部分に張付けモルタルが盛り上がるまでたたき締める。タイル張継ぎ部分の張付けモルタルは、除去する。(引用2(7))
「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

タイル張付け(引用4(2))
表張り紙の紙はがしは、張付け後、時期を見計らって水湿しをして、表張りの紙をはがす。(引用2(6))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

表張りはがし(引用4(2))

化粧目地は、塗り目地とするほかは、次による。(参考2(6)(7))
・タイル張付け後、24時間以上経過した後、張付けモルタルの硬化を見計らって、目地詰めを行う。
・目地の深さは、タイル厚さの1/2以下とする。
・目地詰めに先立ち、タイル面及び目地部分の清掃を行い、必要に応じて目地部分の水湿しを行う。(引用2(6))
6へ
3から
タイル張替え工法(外装壁タイル接着剤張り下地)の場合(※2)
4.外装壁タイル接着剤張り下地の施工
下地コンクリート表面の仕上がり状態は、目違い、不陸等のきわめて少ない良好な面とする。(参考2(8))
下地調整塗材CM-2を塗布する。(参考2(8))
タイル張り下地面は、金ごて押さえとするなど、タイル接着剤張り工法の仕様に適する仕上げとする。(参考2(8))
タイルの張付けに当たり、下地面の清掃を行い、下地面を十分に乾燥させる。水湿し及び吸水調整材の塗布は行わない。(引用2(8))
5.タイルの張付け
接着剤は、外装壁タイル張り用有機系接着剤(JIS A5557)に基づく、一液反応硬化形変成シリコーン樹脂系を用いる。(参考2(9))
・目地詰めを行わない場合は、耐候性及び耐汚染性を有するものを用いる。(参考2(9))
工法は以下のとおりとする。
有機系接着剤の1回の塗布面積の限度は、接着剤の製造所の仕様による。(引用2(10))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

接着剤の準備(引用4(3))

有機系接着剤は金ごて等を用いて平たんに塗布した後、タイルの製造所又は接着剤の製造所の指定するくし目ごてを用いて壁面に60°の角度を保ってくし目を立てる。(引用2(10))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
接着剤の塗付け(引用4(3)) くし目立て(引用4(3))

裏あしがあるタイルは、裏あし方向とくし目の方向が平行にならないようにする。目地詰めを行わない場合は、一度くし目を立てた後に金ごてを用いて平たんに均す。ただし、目地幅が3 mm以下の空目地の場合は、くし目状態のままとする。(引用2(10))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

平ならし(引用4(3))

目地割りに基づいて水糸を引き通し、基準となる定規張りを行い、縦横目地引き通しに注意しながら張り上げる。(引用2(10))
手でもみ込んだ後、たたき板、タイル張りに用いるハンマーでたたき押えるか、又は、振動工具を用いて加振して張り付ける。(引用2(10))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
タイルのもみ込み(引用4(3)) たたき押え(引用4(3))

化粧目地を詰める場合は、次による。
ア.
タイル張付け後、24時間以上経過し、接着剤が硬化していることを確認した後、目地詰めを行う。(参考2(10))
イ.
目地用モルタルを確実に充填したうえ、モルタルの硬化を見計らい、目地押えを行う。(引用2(10))
6へ
6.養生・清掃
目地モルタルの養生を行う。タイル表面に付着した余分なモルタルはぬぐい取り十分清掃する。
7.最終確認
工事全体の仕上がりを目視で確認するとともに打診よる確認を行う。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
hosoku補足

(※1)傾斜した外壁に防水層を設けた場合に、防水層の上に物理的固定無しに下地モルタルを作成すると、防水層との界面ではく離・はく落を起こすことがある。(引用5(1))傾斜した外壁に防水層を設けタイル張りとする場合の例を以下に示す。

 防水層+ピンネットによる機械的固定補助によるタイル張り

①躯体精度:躯体の精度が悪く多大なつけ送りを行うとはく離、はく落につながりやすいため十分注意する。

②ステンレスアンカー打込み: Φ12mm、@500mm程度を標準とする。

③防水層:下地の均しモルタルとの接着性が確認されているものとする。

④防水施工:ステンレスアンカー周辺は特に入念に行い、突き出たアンカーに20mm程度防水を立ち上げるとともにシーリング材等で処理をする。

⑤防水範囲:斜壁の上下に連続して通常の壁がある場合は、その壁に100mm以上防水層を延長する。

⑥伸縮調整目地の設置:垂直方向、水平方向ともに2m以内、かつ水平方向打継ぎ位置に必ず設ける。伸縮調整目地は、防水層位置まで達するように設ける。傾斜面と直交する面についても、できるだけ、傾斜線から20cm程度又はそれ以内に、傾斜線と平行に伸縮調整目地を設ける

    傾斜した外壁をタイル張りとする場合の例(引用6(1)一部修正)


(※2)全面的に張替える場合は、適切なタイル張り工法を適用する。また、伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地を適切な間隔に設けて、タイル仕上げ面に生じるひずみ(乾燥及び湿潤、温度変化、地震等の外力による変形)の影響を軽減する必要がある。(参考3(3))

06_RC補-03_G-2-307_6_*2図上.jpg          
垂直伸縮調整目地の例(引用3(4))

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」

  タイル張りのひび割れ誘発目地及び伸縮調整目地(引用4(4)一部修正)

備考
  • タイル張りのはく離は、コンクリートと下地モルタル間、下地モルタルと張付モルタル間、張付モルタルとタイル陶片間の各層間で生じる可能性がある。

はく離なしの状態            はく離が生じる各層間の例 

タイル張りのはく離の例(chord作成)
  • タイル部分張替え工法は、①タイル陶片又はタイル張り仕上げの張付けモルタルからのはく落欠損部、②浮きのうち、通常レベルの打撃力によってはく落するおそれのあるタイル陶片又は張付けモルタルからの浮き部除去部分、③ひび割れ周囲のタイル陶片又は張付けモルタルからの浮き部除去部分及び④タイル陶片のひび割れのうち幅0.2mm以上のひび割れ部除去部分に、タイル張り仕上げをする改修に適する。(引用3(2))
  • タイル張替え工法は、タイルが下地モルタル部分をともなってはく離し通常レベルの打撃力ではく落する浮きや欠損の場合又は、下地構造体コンクリート部分をともなってはく離し通常レベルの打撃力ではく落する浮きや欠損の場合又は、ひび割れの改修等で下地モルタルを撤去した場合等の比較的深い欠損部分の改修に適する。(引用3(2))
  • コンクリート表面にひび割れが生じている場合は、「樹脂注入工法(RC造G-2-301)又は「Uカットシール材充填工法(RC造G-2-302)」を参照し、補修する。(参考2(11))
  • はく落危険性の高い浮きウに対して適用される改修工法である。(引用3(5))

参考文献


書名[該当箇所] 編著者 発行所
1 外壁仕上げの損傷事例 原因と対策[(1)p33] 日本建築仕上学会 (株)技術書院
2 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版[(1)p105、(2)p106、(3)p110、(4)p111、(5)p109、(6)p112、(7)p113、(8)114、(9)p103、(10)p115 、(11)p102・84・86 ](国土交通省大臣官房官庁営繕部監修) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
3 建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[(1)p430(図4.4.3)、(2)p431~432(4.4.3(2)(3))、(3)p450、(4)p452(図4.4.11)、(5)p432](国土交通省大臣官房官庁営繕部監修) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
4 建築工事標準仕様書・同解説 JASS19 セラミックタイル張り工事(2022) [ (1)p113(解説図3.19)、(2)p119(解説図3.22)、(3)p210~211(解説図4.26、解説図4.27)、(4)p81(解説図3.8)] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
5 外壁タイル張り(設計上の配慮事項・施工管理上の注意事項)[(1)p3] (一社)全国タイル業協会 (一社)全国タイル業協会
6 まもりすまい保険設計施工基準・同解説(2025年版)(第1版)[(1)p73(参考図14-2)] 住宅瑕疵担保責任保険法人住宅保証機構(株) 住宅瑕疵担保責任保険法人住宅保証機構(株)
 
kanren関連文献
書名 編著者 発行所
公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版[p81、p102~104、p105(4.4.7)、p106(4.4.8)](国土交通省大臣官房官庁営繕部監修) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p354~355(図4.1.7)、p432~433、p448~455、p452(図4.4.9)、p464~468(4.4.8)(8)](国土交通省大臣官房官庁営繕部監修) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
タイル仕上げ外壁の補修・改修技術[p89~92]
(建設大臣官房技術調査室監修)
外装仕上げおよび防水の補修・改修技術出版企画編集委員会
(財)日本建築センター
(財)建築保全センター
(財)日本建築センター
(財)建築保全センター
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版[p180(11.1.6)](国土交通省大臣官房官庁営繕部監修) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会