補修方法編

設備からの漏水 腐食を発生させない管・継手の組合せに取替え W-2-301
RC造
工事概要

腐食を発生させない管・継手の組合わせに、住戸全体にわたり給水配管を取り替える。


給水管の劣化状況例
(引用:参考文献1,2一部加筆)

図における給水管の使用材料例

  • 配管材料:SGP-VB(水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管)
  • 継手種類:ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手(樹脂コーティング)
  • 弁類:青銅弁および水栓金具類
腐食の他、錆こぶの成長やブリスタの発生による通水不良も見られる。
対応する不具合と原因 不具合
  • 設備からの漏水(W-2)
原因
  • 管材・継手等の種類・規格選定の不適<管の異種金属接触による腐食>
  • 管材・継手等の品質の不良、腐食対策不良
適用条件
  • 床や内装はがしができる場合に適用できる。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場の原因調査を行う。
施工範囲・内装はがし部分を確認し、施工計画をたて、工期を決定する。
2.施工範囲の内装等の撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
配管を撤去する範囲が広くなるので、日常の生活に支障のないよう配慮する。(量水器の二次側から給水栓に至るまでを工事範囲とする。)
3.既設管・継手の撤去
交換しない管・継手との組合わせも確認する。
4.新規配管
配管支持は、1~2mおきにサドルバンド等でしっかり固定する。
5.水圧・通水試験
全ての管工事が終了した後、元栓を開け、水圧・音・固定状況・漏水に問題がないことを確認する。
6.内装仕上材等の復旧
撤去した内装仕上材等を復旧する。
  • 仕上げ施工時に釘等により、管を打ち抜かないように注意する。
  • 点検口が必要な箇所にない場合は設ける。
足場、養生等の撤去を行う。
7.片付け、清掃
備考 【留意事項】
  • 異種金属による腐食は、住戸・住棟内全体で起こっている可能性があるため、1ヶ所でも見つかれば設計図・施工図を確認して、全体の取替えまで想定し、補修方法を検討する。
  • 既設管と同じSGP-VBを使用する場合は、管端防食継手を使用する。
  • 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管と接合する弁は、管端防食コア構造バルブまたは異種金属接触防止バルブを使用する。(参考:参考文献3)
  • 住戸内の給水配管替え工事は、場所、時間、その他施工上の制約が多いため、施工し易く耐食性に優れた樹脂管(塩化ビニル管(HIVP、VP)や架橋ポリエチレン管等)を使用するケースが多い。
  • 現実的には、一度に全体を取り替えられる場合は少ない。

【改修に必要な機材】
養生資材(シート・ウエスなど)
配管替え用配管資材(管・継手類)、支持・固定具類および保温材
配管施工用工具類
内装・床・壁工事用工具類及び復旧用資材

【改修に必要な専門技術者】
給排水衛生配管施工専門技術者
水道工事業者
内装工事専門業者

【参考情報】
  • 給水・給湯配管を同時に交換する場合の管種の組み合わせによる改修工事の比較を下表に示す。
給水・給湯管管種別改修工事(引用:参考文献2一部加筆)
注)③はさや管ヘッダ方式の例を示し、給水・給湯配管をポリブテン管とした場合も同様である。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 現場で役立つ設備配管の診断と改修読本[p155,157] 日本建築設備診断機構 (株)オーム社
2 設備配管の診断・改修実務 [p76, 77]一部加筆 日本建築設備診断機構 (株)オーム社
3 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管のQ&A [2継手・バルブについて] 日本水道鋼管協会 日本水道鋼管協会ホームページ